なぜ学校とすれ違うのか?その原因と背景を解説 ~「子どものため」がすれ違うとき~
◆「学校がわかってくれない」と感じたことはありませんか?
「できれば学校とはもめたくない」「先生にうまく思いが伝わらない」
そんなふうに感じた保護者の方も多いのでは。
一方で、学校側もまた「子どものために」という思いを持ちながら日々生徒と向き合っています。
それでもなお、保護者と学校の間でもめごとや誤解が生まれてしまうのは、なぜなのでしょうか。
この記事では、保護者と学校の間に生まれる“すれ違い”の背景とその構造について、教育現場での実感を交えて解説します。
「子どものため」という共通の目的が、なぜか反発や不信感に変わってしまう――。
その理由と向き合い方を知ることで、学校との関係はきっと変わります。
◆学校とのすれ違いの背景にある「視点の違い」
学校と保護者の関係において、すれ違いが生まれる大きな要因の一つに
「教育」と「福祉」――つまり、「指導」と「支援」という考え方の違いがあります。
誤解を恐れずにいえば、両者が基づいている立場の違いが原因となることがあります。
この視点の違いを理解せずに対話を続けると、どうしても「話がかみ合わない」「わかってもらえない」といった感情が強まりやすくなります。
以下に、「指導(教育)」と「支援(福祉)」の特徴を整理してみましょう。
〇教育の視点
目的は「できることを増やす」こと
学校は訓練の場であり、挑戦と失敗を経験する場所
困難や挫折は、成長のプロセスと捉える
例えるなら、自転車の補助輪を外し、転びながらも一人で乗れるようになる練習の場
〇福祉の視点
目的は「できることを減らさない」こと
失敗やつらさをできる限り回避させる支援
自転車で例えるなら、乗れているなら無理に補助輪を外さず、安定して進める状態を守る
よくあるすれ違いのパターンと現場の実感
① 学校=指導重視 保護者=支援重視
- 学校:「この子なら乗り越えられる」と成長を信じる
- 保護者:今すぐの対処を求める(例:提出物、友人関係、学習面など)
→ 保護者側には「学校が冷たい」「放っておかれている」と感じられることも
② 学校=支援重視 保護者=指導重視
- 学校:無理をさせないよう過保護な対応をとる
- 保護者:「もっと指導してほしい」「このままで大丈夫?」と将来への不安を感じる
→ 「学校が甘すぎる」との不満が生まれることも
筆者の現場感覚としては、①のように学校が指導を重視し、保護者が支援を求めるケースが圧倒的に多く見られます。
◆すれ違いの原因は「立場のずれ」にある
「指導(教育)」と「支援(福祉)」のどちらも、子どもの育ちには欠かせない要素です。
問題は、学校と保護者がどちらに重きを置いているかを明確にせずに話し合ってしまうことにあります。
この「視点のずれ」に気づかないまま対話を続けると、「学校がわかってくれない」「言っても無駄だった」といった失望感や不信感につながりやすくなります。
◆では、どうすればいいのか?
まずは、学校がいま「指導」と「支援」のどちらの視点で対応しているのかを冷静に読み解いてみましょう。
その上で、たとえばこんなふうに考えるとよいかもしれません。
「学校は“指導”をベースにしている。でも、うちの子には“支援”が今は必要。
だったら、“支援”を“指導”の補助輪として活用してもらえないだろうか?」
対話の糸口をつかめると、学校との関係もぐっと前向きなものになっていきます。
【まとめ】すれ違いは“視点の違い”から
「学校と合わない」と感じるとき、それは、それぞれの視点(立場)が異なっているだけかもしれません。
教育相談では、こうした立場(視点)の違いに気づき、どう伝えれば学校と協力できるのかを一緒に整理していきます。
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次回予告:学校にどう伝える?具体的な言葉の工夫とは
次回は、「じゃあ実際に学校にどう伝えればいいのか?」について、
具体的な表現やタイミングの工夫などをお伝えしていきます。
「何をどう言えば意図が伝わるの?」
そんな疑問をお持ちの方は、ぜひ次回のコラムもご覧ください。
2025年8月10日