京都生涯学習研究所

教室通信

国公立大学入試の仕組みと動向 調査から見えた高1・高2生が今すべきこと

◆はじめに
大学入試について、「国公立」「私立」という言葉は耳にしても、その仕組みの違いを明確に理解している高校生は意外と少ないものです。特に高校1・2年生の段階では、「何となく国公立の方が難しそう」「私立の方が科目が少ない」といった漠然としたイメージだけで終わっていることも多いのではないでしょうか。
この記事では、国公立大学入試の仕組みや動向をお伝えいたします。

 

 


◆「国公立」とは何か——「国立」と「公立」の違い

 

〇国立大学とは
国が設置・運営する大学のことです。代表例として、東京大学、京都大学、大阪大学などがあります。2004年以降、これらの大学は「国立大学法人」という組織形態に移行しましたが、依然として国の強い関与のもとで運営されています。

 

〇公立大学とは
都道府県や市町村といった地方自治体が設置・運営する大学です。京都府立大学、大阪公立大学、横浜市立大学などが該当します。地域に根ざした教育・研究を重視する傾向があります。

 

〇「国公立」という呼び方の意味
この二つを合わせて「国公立大学」と呼びます。入試の仕組みが似ているため、一括りにされることが多いのです。ただし、入試科目や配点、試験日程などは大学によって異なりますので、「国公立なら全部同じ」というわけではありません。

 

 


◆国公立大学入試の基本的な仕組み

国公立大学入試は、大きく分けて二段階で構成されています。

 

〇第一段階:大学入学共通テスト(1月中旬)
全国の受験生が同じ日に受験する、マークシート方式の試験です。2025年1月実施の共通テストでは、約49万人が志願しました(河合塾調べ)。このうち、現役生は約42万人、既卒生(浪人生など)は約7万人となっています。
共通テストの特徴は、幅広い科目を受験する必要がある点です。文系であっても数学や理科が必要ですし、理系であっても国語や社会が課されます。

 

〇第二段階:各大学の個別試験(2月下旬〜3月)
共通テストの後、各大学が独自に実施する試験です。「二次試験」と呼ばれることもあります。記述式・論述式が中心で、大学ごとに科目数や出題傾向が大きく異なります。

 

〇合否判定の考え方
国公立大学の合否は、共通テストの得点と個別試験の得点を合算して決まります。配点比率は大学・学部によって異なりますが、どちらも重要です。

  

 


◆私立大学入試との違い

では、私立大学との具体的な違いは何でしょうか。

 

〇試験科目数の違い
国公立大学は、共通テストで5教科7科目程度(文系)、5〜6教科7〜8科目程度(理系)を受験するのが一般的です。個別試験でも2〜3科目が課されます。
一方、私立大学は、一般入試では3科目程度が主流です。たとえば文系なら「英語・国語・地歴公民」、理系なら「英語・数学・理科」といった組み合わせです。
この科目数の差が、国公立大学入試の最大の特徴であり、受験生にとっての負担でもあります。

 

〇試験日程の違い
私立大学は、1月下旬〜2月にかけて各大学が独自の日程で試験を行います。そのため、複数の大学を併願しやすい仕組みです。
対して国公立大学は、前期日程・後期日程という全国共通の日程で試験が実施されます。前期日程で1校、後期日程で1校しか受験できません。

 

〇学費の違い
国公立大学の学費は、基本的には年間約54万円(授業料)が標準額ですが、医学部や歯学部など一部の学部では異なる場合があります。それでも、私立大学と比較すれば抑えられています。
一方、私立大学は学部によって大きく異なりますが、年間100万円を超える場合も少なくありません。この経済的な側面も、国公立大学が志願者を集める大きな理由のひとつです。

 

 


◆国立大学と公立大学における入試科目の違い

「国公立」とひとまとめにされがちですが、国立大学と公立大学では、入試科目に違いがあります。

 

〇国立大学について
国立大学、特に難関大学では、共通テストで幅広い科目を課す傾向が顕著です。文系でも理科2科目が必要ですし、理系でも社会科目が課される場合もあります。

 

〇公立大学について
公立大学は、科目数を絞って実施する場合がある点で、国立大学とやや異なります。共通テストでも、国立大学ほど多くの科目を課さない大学も存在します。
ただし、これは一般論であり、大学・学部によって方針は大きく異なります。志望校が決まったら、必ず募集要項で科目や配点を確認することが必須です。

 

 


◆志望動向からみえること

河合塾の分析では、2026年入試において以下の動向が示されています。

 

〇東京大学の志望動向からわかること
東京大学の出願予定者は前年比97%と減少しました。特に理科類ではすべての科類で出願予定者が減少し、理科三類(医学部)では「得点率9割以上の成績層」が減少しています。
河合塾はこれを「安全志向」と分析しています。つまり、成績上位層であっても、より確実に合格できそうな選択肢を選ぶ傾向が強まっているということです。

 

〇ちなみに京都大学の志望動向
京都大学の出願予定者は前年比98%とやや減少しました。文系では教育学部、総合人間学部で出願予定者が増加しており、これは「前回入試で志願者の減少が大きかった」反動と見られています。
一方、理系では理学部、薬学部が引き続き人気を維持しています。

 

 


◆高校1・2年生が今知っておくべきこと

〇科目選択は早めに考える
国公立大学を目指すなら、文理を問わず幅広い科目が必要です。高校2年生の段階で、「数学が苦手だから文系」「国語が嫌いだから理系」という単純な選び方をすると、後で大きく困ることがあります。

 

〇「国公立か私立か」は、学びたい内容と経済面の両面から考える
国公立大学は学費が安く、幅広い教養を身につけられる一方で、受験科目が多く、日程的にも厳しい制約があります。私立大学は科目を絞って対策できる一方、学費が高めです。
どちらが優れているかではなく、自分の状況に合っているかを考えることが大切です。

 

〇志望校がある場合は早めに調べておく
大学によって、共通テストと個別試験の配点比率、科目の組み合わせは大きく異なります。高校2年生のうちから、興味のある大学の募集要項を見ておくと、受験勉強の方向性が定まりやすくなります。

 

 

◆おわりに


国公立大学入試は、共通テストと個別試験の二段階構成であり、幅広い科目が求められるという特徴があります。私立大学とは試験科目数、日程、学費の面で大きく異なり、国立大学と公立大学の間にも入試科目の違いが存在します。
河合塾の分析が示すように、近年は「安全志向」が強まっており、受験生は慎重に志望校を選ぶ傾向にあります。しかし、安全を求めすぎることが、かえって競争を激化させることもあります。
なお、この記事では一般選抜(共通テスト+個別試験)を中心に解説しましたが、国公立大学には総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜(旧推薦入試)といった入試方式も存在します。これらは出願要件や選抜方法が大学によって大きく異なりますので、検討する場合は早めに各大学の情報を確認することが必要です。
焦る必要はありませんが、知っておくべきことを早めに知っておくことが、大切です。

 

 


参考文献
福井新聞(2025年1月22日)
「河合塾、2026年大学入学共通テスト志望動向分析」

2026年1月26日

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