京都生涯学習研究所

教室通信

事例紹介:通信制高校への転校をサポートした教育相談

◆はじめに
本記事は、教育相談を受けられたご家庭のご厚意により、同じ悩みを抱える方の参考として概要を掲載しています。個人情報保護の観点から一部内容を調整しています。ご了承ください。

 

◆事例紹介
・高校1年生のAさん。入学直後から教室に馴染みにくかった
・登校が不安定になり、夏休み明けには欠席が増加
・2学期はほとんど通学できない状態に
・勉強意欲はあるが、教室に入ること自体が大きな負担に
・保護者が「進級が難しいのでは」と心配し相談に至る

 

◆相談の経緯
まず保護者の方だけで面談を行い、現在の状況や悩みを整理しました。「このまま高校に在籍させるべきか」「環境を変えるべきか」という迷いがあり、すぐには判断できない状況でした。
その後、2回目の面談で本人の気持ちを丁寧に確認しました。「授業そのものは嫌いではない」「毎日の通学や教室の雰囲気が負担になっている」という率直な声から、現在の環境が大きなストレスになっていることが見えてきました。
保護者には、現在の学校で続ける場合と通信制高校を検討する場合の選択肢を整理し、通信制高校の仕組みや特徴を具体的に説明しました。そのうえで、本人が無理なく学べる環境について一緒に考える流れとなりました。

 

◆どの通信制高校にするか迷った
通信制高校にも多様な特色があります。学校によって学習スタイルやサポート体制は大きく異なり、通学頻度や指導方法も学校ごとに違います。
保護者と本人は「通いやすさ」「大学進学への対応」「サポート体制」など重視したい点を整理し、複数の学校の説明会や見学に参加しました。選択肢が多く迷う中でも、実際に足を運ぶことで学校ごとの違いや雰囲気が見えてきました。
その結果、本人が「ここなら自分のペースで学べそう」と感じられる学校に出会い、転校への気持ちが徐々に前向きになっていきました。

 

◆転校を決めた理由
複数の通信制高校の資料を取り寄せ、個別相談やスクーリングを通して実際の雰囲気を確認しました。パンフレットだけでは分からない学校生活を体験できたことが決め手の一つでした。
本人にとって特に大きかったのは「毎日通学しなくてもいい」という安心感でした。体調や気持ちに合わせて学習を進められることで、日々の負担が軽くなりました。
さらに通信制高校ではレポート学習が中心ですが、必要なときにスクーリングで先生や友人と顔を合わせることができます。「ひとりきりではない」という点が不安を和らげました。
もうひとつ背中を押したのは「自分の時間を活かせる」ことでした。アルバイトや資格取得など将来の準備と両立しやすい環境は、本人にとって大きな魅力でした。

 

◆保護者の思い
保護者にとって大切だったのは、勉強の遅れを取り戻すことだけでなく、本人が再び自分らしく過ごせることでした。最終的に家族で話し合い、「ここなら続けられそう」と感じられた通信制高校への転校を決断しました。

 

◆まとめ
Aさんのケースは、「学校を続けるか環境を変えるか」という迷いの中でも、本人と保護者が丁寧に気持ちを整理し、納得できる選択肢を見つけた例です。
無理に現状に合わせることだけが正解ではなく、「安心して学べる場所」を探すことが、結果的に本人の力を引き出すことにつながる場合があります。
もし、この記事を読んで「うちも同じような悩みを抱えている」と感じられた方は、まずはご家庭で気持ちや状況を整理することから始めてみてください。そして必要であれば、学校や公的機関、または当教室の教育相談など、信頼できる第三者にご相談いただくことも選択肢のひとつです。

 

2025年9月18日

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